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レポートタイトル

2017-05-19

米国:トピックス(ワシントン事務所作成)

経済諮問委員会委員長人事にみる米国のアルゼンチン化の兆候



要約

トランプ政権のCEA軽視が目立っている。トランプはCEA委員長を準閣僚級に格下げし、4月になってやっとCEA委員長を指名した。他の2名の委員はまだ指名されていない。
トランプ政権のCEA軽視は、アルゼンチン政府がインフレによる利払い増加を抑えるため、07年に国家統計センサス局(INDEC)の消費者物価指数局長を突然更迭し、それ以降、インフレ率を実態より低く報告するようになった事例を想起させるところがある。
今回、トランプ政権は予算教書作成にあたり、CEAに対して選挙公約で掲げた3%−3.5%の経済成長率を導き出せるモデルを作成するよう要請し、足りない部分は「なんとかして埋める」よう指示したと報道されている。CEAが政権の意向に従うだけの組織となれば、CEAの信頼性は大きく損なわれる。
経済成長率の見通しはトランプの税制改革法案に影響する。税制改革法案では増収措置が十分ではなく、経済成長によって税収が増加するというダイナミックスコアリングに頼っているからである。
そもそも、現在のような完全雇用に近い経済情勢で拡張的な財政政策が必要なのか、という議論が素通りされている。税制改革法案が成立した場合、インフレが加速する恐れがないのか。FRBだけなく、ホワイトハウスにもエコノミストが必要であろう。
現実の統計データそのものへの影響も表れ始めている。10年毎に行われる国勢調査(次回は20年)は、州別の下院議員定数の割り当て、政府の補助金の配分や企業の意思決定など、多方面に活用されており、国政の基礎をなすデータである。しかし、17年度予算では国勢調査の予算は要求額から大幅カットされ、国勢調査局は17年に予定していた予備調査を取りやめた。
トランプは選挙期間中から、失業率データなど自身の主張に不都合なデータは間違っているとして、政府の統計を疑問視する発言を繰り返し、国民の統計への信頼にも変化をもたらしている。統計の精度・信頼は国政の基礎であり、ポピュリズム的な政策論議から脱して冷静な議論を喚起する上でも、その意義を粘り強く訴えていく必要があろう。

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