21年2月、インドネシア初のソブリンウェルスファンド （インドネシア投資公社：INA）が創設された。ジョコ政権は、新設のINAを通じて資金を国内外から調達し、国内のインフラ開発や産業育成を目指す。政府はINAの初期資本として75兆ルピア（約50億ドル）を拠出する。政府の財政余力が限られていることから、積極的に海外機関投資家を募り、ファンド規模を200億ドルへ拡大することを当面の目標として掲げた。
　21年5月、INAは本格的に業務を開始した。まず、国営企業が運営する有料道路事業への投資に向け、複数の海外機関投資家と覚書（MOU）を結んだ。
　なお、隣国マレーシアでは政府系ファンドの運営が大規模な汚職事件につながった事例もある。INAの運営においては、汚職などのガバナンスの問題や、過剰債務を抱える国営企業に対する安易な資金調達手段としての利用につながることがないように透明性の確保が重要となる。