共産党の最高指導者グエン・フー・チョン書記長が推進してきた汚職撲滅運動は政敵排除の道具と化しており、党幹部や政府高官の摘発や処分等に結びついている。グエン・スアン・フック前国家主席が23年1月に引責辞任してから約1年後、24年3月にヴォー・ヴァン・トゥオン国家主席が「党の規定に違反」との理由で辞任した。続いて5月にブオン・ディン・フエ国会議長も辞任した。
チョン書記長は80歳と高齢かつ健康問題を抱え4期目入りの可能性は低い。26年1月開催予定の共産党大会を見据えた後継者を巡る党内権力争いが過熱している。
トゥオン国家主席とフエ国会議長の辞任自体がベトナムの政策運営や外交に与える影響は限定的となる公算が大きい。今のところ最高指導部4人(書記長、国家主席、首相、国会議長)を頂点とする権力の分散とコンセンサスを重視した集団指導体制、貿易重視と全方位外交といった大きな路線を変更する動きはない。
ただし、汚職撲滅の口実を与えたくない党幹部や政府高官等が様々な決定を回避する事態が続いており、チョン書記長の後継問題の決着の見通しが立つまでは、各種許認可や行政手続きの遅延がさらに深刻化する可能性がある。
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