EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)は、EU排出権取引制度(EU-ETS)における無償排出枠の段階的削減によって高まるカーボンリーケージのリスクに対応することを目的として導入された。26年から本格運用が予定されており、現在は移行期間にある。CBAMの影響としてCBAM対象製品の輸入業者が負う規制対応コスト、CBAM下の報告義務によって企業の価格関連情報等の重要情報が流出するリスク、価格競争力を損なう可能性、行政側の人材不足がサプライチェーンのボトルネックにつながるリスクが指摘されている。EUは移行期間終了までに対象製品の拡大やそのスケジュール等を検証する予定であり、EUの検証結果が注目されている。
英国も23年12月、27年からのUK-CBAM施行開始を目指し24年に協議を開始することを公表した。同国がCBAM導入を目指す背景にはカーボンリーケージを防止する狙いのほか、EUがCBAMを施行することでCBAM対象製品のEUへの輸出が減少し、代わりの輸出先として英国に低価格で大量に流入することへの懸念もあると指摘されている。対象となる製品の正確なリスト等の詳細なUK-CBAMの制度設計は今後協議される予定である。
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