JCIFのレーティングについて
  1. JCIFでは、わが国と経済関係の深い、主としてエマージング諸国について、中長期的に経済運営が安定的に発展していくかどうかという観点から、カントリー・レーティングを半年毎(原則として上期は6~7月、下期は11~12月)に実施しています。
  2. 各国毎に、経済、政治、社会、市場での評価、データの信頼性の5項目を総合して、
    A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、Eの12段階に分類しています。
    12段階評価の定義は、中長期的なカントリー・レーティングの視点に立ち、平成24年度上期以降、以下の定義を使用しています。

    A-
    先行き5年間を見通して、経済の安定的発展を妨げる不安材料が、政治・社会面を含めて少ない
    (A-は、その中でもマイナス評価する材料がある国)。
    B+

    B-
    先行き5年間を見通すと、経済、政治、社会に不安材料が見受けられるが、経済基盤が大きく崩れる懸念は途上国の中では小さい
    (その中でも相対的にプラス評価できる国はB+、マイナス評価が加わる国はB-)。
    C+

    C-
    先行き5年間を見通すと、経済、政治、社会に不安材料が少なくなく、経済基盤の安定性に関して途上国の中でも相対的に注意を払う必要がある
    (その中でも相対的にプラス評価できる国はC+、マイナス評価が加わる国はC-)。
    D+

    D-
    先行き5年間を見通すと、経済、政治、社会に重大な不安材料があり、経済基盤が脆弱で、日本からの与信などの経済取引に当たって注意が必要である。
    (その中でも相対的にプラス評価できる国はD+、マイナス評価が加わる国はD-)。
    経済、政治、社会に重大な問題があり、先行き5年間を見通しても容易に取り除けないとみられ、日本からの与信などの経済取引に当たって警戒が必要である。
  3. 評価に当たっては、対象国の経済、政治、社会、市場での評価、データの信頼性の5項目を採点して、総合するスコアリング方式を採用しています。
    このうち経済に関しては、公表統計に基づく定量的評点と、統計データがそろっていない項目に関する定性的評点を合算する方式を採用しています。定量的評点は7項目から構成されています。すなわち、①実質GDP成長率、②1人当たりGDP、③輸出増加率、④経常収支/GDP比率、⑤GDPデフレーター上昇率、⑥債務/GDP比率、⑦債務/GDP比率の変動について、先行き5年間を計量予測した値の優劣に対して、全体の34.5%の評点を配分しています。
    なお、この計量予測値は、当該国に関する「国別・レーティング」レポートに収録しています。その予測に当たっては、小型マクロ・モデルを用いていますが、国によっては若干の修正を施しています。また、欠測値の取り扱いなどにより、評価年度によってもモデルを調整することがあり、モデルから算出された値について、JCIF内で十分に吟味する取り扱いとなっています。
  4. 経済に関する定量的評点のほか、経済、政治、社会、市場での評価、データの信頼性の5項目について、以下の判定ポイントから、JCIFではa~eの5段階の定性的な評点を与えています(aが相対的に優れ、eが相対的に劣る)。定性5項目合計で、全体の65.5%の評点を配分しています。2008年秋の世界的な金融危機の深刻化以降、カントリーリスクを評価する上で、財政の健全性、金融部門の安定性、外貨流動性なども考慮することが重要となっています。このため、2011年度下期より、これらを評価する項目の拡充、新設、評価ウェイトの変更を行いました。こうした変更を実施しても、従来のレーティングとの連続性は保たれると考えております。

    [経済] (総合評点の30.5%のウェイト)
    1. 経済構造・質:①産業構造、②技術水準、③インフラ整備、④貿易構造。
    2. 成長のポテンシャリティ:①マーケットアクセス、②労働力、③エネルギー資源、④貯蓄率、⑤資源の賦存等。
    3. 経済政策:①総合的な管理能力、②金融政策、③財政政策、④為替政策。
    4. 対外債務:①管理能力、②債務内容、③支援体制。
    5. 資金流入:①直接投資、②証券投資。
    6. 財政収支:①財政収支、②政府債務残高(本細目は2011年度下期から採用を開始しました)。
    7. 金融システムの安定性:①不良債権比率、②自己資本比率、③貸出増減率、④監督体制の充実度、⑤金融自由化の進展状況(本細目は2011年度下期から採用を開始しました)。
    8. 対外資産:国富ないし対外支払に充当できる外貨資産の規模。
    9. 短期債務:①短期債務対総債務比率、②外貨準備対短期債務比率(本細目は23年度下期から採用を開始しました)。
    [政治] (総合評点の15%のウェイト)
    1. 内政:①政権の安定性、②社会的政策の有効性、③基本的政策の継続性。
    2. 外交・軍事:①国際機関との関係、②近隣諸国との軍事紛争の可能性。

    [社会] (総合評点の10%のウェイト)
    ①人種・民族・宗教構成、②教育水準、③所得格差、④政府による統制・弾圧。

    [市場での評価] (総合評点の8%のウェイト)
    民間格付会社による格付等。

    [データの信頼性] (総合評点の2%のウェイト)
    ①データの速報性、②データの正確さ。

    以上

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